2017年04月23日 [経営管理]
«賃貸経営»個人賠償責任保険と借家人賠償責任保険
■入居者が火災を起こし、家主に損害が発生
個人賠償責任保険で対応できるのか?
アパート・マンションの賃貸経営は年々、厳しくなっていますが、成功するためのカギの一つがリスクの回避です。いろいろな対策はありますが、保険の活用も重要な要素になります。
よく大家さんから「入居者は、個人賠償責任保険に入っていれば、借家人賠償責任保険は不要なのでしょうか」というご質問をいただきます。
本日は、個人賠償責任保険と借家人賠償責任保険の違いについて触れてみたいと思います。実は、多くのアパート・マンションの大家さんが、この2つの種類の保険について、意外に理解されていません。
具体例で考えてみます。
入居さんが、お部屋で火災を発生させてしまい、お部屋を全焼させてしまいました。
賃貸借契約上、入居者さんには原状回復義務があります。さて、保険での対応を考えるとして、個人賠償責任保険で対応ができるのでしょうか。それとも、借家人賠償責任保険で対応するのでしょうか。
個人賠償責任保険は、日常生活の事故で、他人にけがをさせたり、他人のものに損害を与えたりして、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償されるものです。
個人賠償責任保険は、原則単独で契約することはできず、火災保険、自動車保険、傷害保険等に付帯する形で加入することができます。
一方、
借家人賠償責任保険は、アパートやマンションの賃借人が、火災、水漏れ、爆発等を起こし、オーナー(貸主)に対して法律上の賠償責任を負った場合に補償されるもので、入居者(賃借人)が、家財に対する火災保険に付帯して加入する形になります。
2種類の保険、一見似ているように感じますが、実は、この2種類の保険、全く異なります。
先ほどの事例のように、入居者が、アパートやマンションで火災を起こした場合、オーナーに対する損害賠償は、個人賠償責任保険では、対応できないのです。
理由は、個人賠償責任保険は、他人から借りたり、預かっているものに対して損害を与えてしまった場合は補償対象外となっているからです。
ということで、借りている部屋で火災を起こし、損害を与えてしまった場合には、借家人賠償責任保険で対応しなければいけないということになります。そのために、借主が家財に対する火災保険に加入する際、一緒に、借家人賠償責任保険をつける必要があるのです。
もちろん、家主ではなく、他の入居者に対する損賠賠償責任に対しては、個人賠償責任保険で対応することが可能です。
たとえば、アパートやマンションで水漏れを発生させ、階下の住人のテレビを壊してしまった場合などに対応することになります。
この水漏れ事故で、壁やクロスに損害を与えた場合には、借家人賠償責任保険での対応となります。
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