2017年06月02日 [不動産投資マーケット]
«不動産投資»「2022年問題」が賃貸経営に与える負のインパクト
■大都市圏の農地「生産緑地」の指定解除
アパート・賃貸マンションも増加する?
空室の増加で、アパート・マンション経営が悪化している大家さんが増えていますが、最近、「2022年問題」が賃貸の需給を悪化させる新たな懸念として浮かび上がっています。
ところで、「2022年問題」というのをお聞きになったことはあるでしょうか。
これは、都市部の農地「生産緑地」にかかわる問題です。
一見、アパート・マンション経営とは全く関係なさそうな「生産緑地」とは何でしょうか。
「生産緑地」とは、3大都市圏の政令市を中心として、一定の条件をクリアして、指定を受けた市街化区域内の農地のことで、この土地の所有者は、固定資産税の減免や相続税の納税猶予を受けることができるというものです。
ただ、その一方で「生産緑地」の指定を受けると、その土地での営農を義務付けられることになります。
この営農義務は、市町村に対する「生産緑地」の買い取りの申し出を行わないと解除されません。そして、買い取りの申し出ができるのは、
・主たる従事者の死亡または農業従事することができなくなる
・「生産緑地」に指定されてから30年が経過する
のどちらかのケースによります。土地所有者にとっては、税額軽減のメリットの半面、思い負担を背負うことになります。
土地所有者が買い取りの申し出を行うと、市町村は特別な事情がない限り、時価で買いとならなければなりませんが、実際に買い取った事例は少ないようです。市町村が買い取らない場合、他の農家への斡旋を行い、それでも買うものがいないと、「生産緑地」の指定が解除されます。
解除されると、土地所有者は、固定資産税の軽減がなくなって、跳ね上がる可能性があります。
1992年に現行の「生産緑地」制度が導入されて、現在存在する多くの「生産緑地」が、2022年に30年が経過します。税制面での優遇が受けられる半面、終身の営農義務が課せられるのを懸念して、土地所有者の多くは、買い取りを申し出て、指定を解除するとみられているのです。
そうなると、都市部にある大量の農地が放出されると予想されています。
■■東京23区内の「生産緑地」は東京ドーム約100個分
ちなみに、国土交通省の「都市計画現況調査結果」(平成27年3月)によると、東京23区内に11,556か所、4,638,800uの「生産緑地」があります。これは、東京ドーム(46,755u)の約100戸分にあたる数字です。
まとまった土地が出回ることで、建売業者などが土地を仕入れ、大量の住宅が供給される可能性があります。空き家問題がさらに深刻化さを増す恐れがあるのです。
同時に、アパートや賃貸マンションを建てて土地の活用を図る土地所有者も出てくることになるでしょう。現在でこそ、アパートや賃貸マンションの空室問題についても、需給を悪化させる、さらなる負のインパクトになりかねません。
実際のところ、都市部の農家の中には、営農よりも、不動産の賃貸経営を行う方が得だと考える方も少なくないようです。
「都市農業に関する実態調査」(農林水産省、2011年)によれば、1戸当たり農家所得のうち、農業所得が約25%、不動産経営所得が約65%、その他の所得が約10%となっています。
営農義務から解放される土地所有者をターゲットに、アパート・マンション経営を勧めるハウスメーカーの営業活動も活発になっています。よく週末に開催されている賃貸住宅経営セミナーでも「2022年問題」「生産緑地」をテーマとしたものが増えています。
都市圏の「生産緑地」の指定解除が、どの程度、賃貸マーケットでの需給を崩すことになるのか、引き続き注目する必要があります。
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